2022年7月、ミュージカル『ガイズ&ドールズ』を観に博多座に出掛けた。初めての福岡だったので、張り切って色々と観光して、おいしいものを食べた。
1日目 地獄を巡って明太子
福岡空港を降りたらまず久留米へ。道中、久留米名物の大砲ラーメンで腹ごしらえしてから向かったのは成田山久留米分院。
日常的な風景の中に高さ62mの観音様と、高さ38mの大仏塔が並び立つ違和感がすごい。最初は他にお客はいなかったのだが、胎内めぐりの階段を登っていると後ろから家族連れが迫ってきた。最後の展望台で追いついてきた子どもが私を見つけて「お母さーん、人がいるよー」と言うので、「あやしい者じゃございやせん」という顔をしてヘラヘラと挨拶した。ここは胎内めぐりの他に、ちょっと尻込みするぐらい怖い地獄館もあって、家族連れも楽しめそうだった。
福岡市内に戻りがてら、太宰府天満宮へ寄り道。ちょうど芽の輪くぐりが設置されている時期だった。
着いたのが17時過ぎだったため参道のお店はほとんど閉まっており、ぎりぎり開いていたお店で温かい梅ヶ枝餅をテイクアウトした。
夜は予約しておいた元祖博多めんたい重へ。デザートにプリンまで食べて大満足。
2日目 巨大建造物と観劇
翌日はバスに乗って旧志免鉱業所竪坑櫓へ。
高さ47.6mのコンクリートタワー。炭坑で鉱員や石炭を上げ下げしていたエレベータのような建物らしい。見る角度によって姿が変わるのが面白く、周りをぐるぐる回って眺めた。私の他に観光客はいなかったが、横にグラウンドがあって一組の親子がキャッチボールをしていた。こんな異様な建物が日常に溶け込んでいるのが何だか良かった。
お昼は予約しておいた小野の離れ博多本店へ。
ここのランチは基本のセットにプラスしておかずを選べる仕組みで、メニューを悩むのも楽しい。私はおかずを3種類選べるセットにして、刺身盛り合わせ、カツオと揚げニョッキのサラダ、キンキの煮付けを選んだ。海の幸を堪能。
お昼ごはんの後は腹ごなしに東公園まで散歩。
高さ10.6mの日蓮聖人銅像が目当てだったのだが、ノーマークだった亀山上皇立像も立派で嬉しい発見だった。このあたりは元寇ゆかりの地のようだ。福岡は街から空港が近いこともあり、日蓮聖人の後ろに飛行機が離陸する写真が撮れた。
さて、ここからが今回の旅のメインイベント、博多座での『ガイズ&ドールズ』の観劇だ。
井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗の共演というだけでも、「チケ難」という文字が浮かんでくる公演だが、個人的に大好きな演目なので絶対観たい。何とか帝国劇場と博多座を1回ずつ確保して楽しみにしていたら、帝国劇場で持っていた回は新型コロナウイルスで公演中止になってしまった。残るチャンスは1度きりということで、片時も見逃すまいと集中して観た。
宝塚版『ガイズ&ドールズ』を観ているので比較してしまうかと思ったのだが、幕開きからかなり演出が異なっていたので別物として没入できた。工夫の凝らされた舞台転換に、おしゃれなフォーメーションのダンスシーン、大好きな楽曲に素晴らしい演者。夢のような時間だった。ただ一つ残念だったのは最前列の一番端というトリッキーな席だったため、舞台前方で行われていることはほぼ首を真横に向けて観るような格好になってしまったことだ。帝国劇場で取れていた席は2階席だったので、それを観てからだったらちょうど良かったなと思ったが、言っても詮無いことである。1度観られただけでも良かった。
2022年8月6日に日経エンタテインメント!で井上芳雄さんが書かれた記事が、世間の状況と演劇界との乖離をよく表していて素晴らしかったので、リンクを貼っておきたい。
終演後は博多座の裏にある博多水炊きとり田へ。
割と一人でどこでも入れる方だが、一人水炊きは初体験。観劇後の興奮もあって、流石に話し相手が欲しくなった。ただ、通路挟んだ隣のテーブルの男性が観劇後に友人と合流したらしく、ずっと「田代万里生の顔が小せえ」と熱弁していたので、心の中で「ほんとスタイル良かったねー」などと勝手に相槌をうっていた。
最終日 涅槃仏
チェックアウトしたら南岳山東長寺へ。こちらには高さ10.8mの福岡大仏があるのだが、そちらは撮影禁止なので、屋外にあった五重の塔の写真を。
福岡大仏の台座内には地獄・極楽めぐりがあって、完全に真っ暗な空間を手すりをたよりに進むというなかなか面白い体験ができる。行ったことないが『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』ってこんな感じだろうかと思った。(多分違う)
朝ごはんは牧のうどんで肉ごぼううどん。
福岡に行ったらやわらかいうどんを食べたいと思っていた。調べたら牧のうどんが特にやわらかいようだったのでここに。途中でうどんが出汁を吸ってしまったときに備えて、急須入りの出汁が付いてくる。うどんは出汁を楽しむためのスポンジなのかもしれないなどと適当なことを思う。
お腹が満たされたところでJR福北ゆたか線に揺られて南蔵院へ。
高さ11m、全長41mの釈迦涅槃像だ。大迫力。敷地内には他にも大不動明王やよくできた銅像がたくさんあった。観光客も結構いて、一大仏教テーマパークという趣きであった。
福岡駅に戻ったら、今度はバスに揺られてららぽーと福岡へ。
友人に福岡行きを伝えたら、こちらに実物大νガンダムがあることを教えてもらったのだ。高さ24.8m。ここまで読んできた方は、「こいつ仏像とか見に行っても大きさのことしか言わないな」とお気づきかもしれない。申し訳ない。正直言って、でかくて異様なものがある風景が好きなだけである。こちらのガンダムについても熱心なファンの方にとっては見どころが色々あるのだろうが、あまり詳しくないので先に謝っておく。関節のところが赤や緑にピカピカしてて格好良かった。
ららぽーとの中でお土産を買ったり、醤油売り場で甘い醤油を見たりして、空港へ向かった。時間ができたので空港内のTSUTAYA CAFE LOUNGEで少し休憩。
そこで買ったばかりのどらきんぐエースを食べたのだが、少し感動するくらいおいしかった。普通のクリームどらやきを想像していたら、クリームではなくあまおう入りの甘酸っぱいムースで、もちもちの皮で包まれている。賞味期限が当日中なのでお土産には不向きだが、また福岡に来たら買おうと思った。
そんなこんなで帰路へ。博多座は一度観劇してみたいと思っていたし、天気に恵まれて巨像も色々見て回れて、おいしいものも食べられていい旅だった。時間の関係であきらめたものもあるので、また今度。
貼りきれなかった写真はこちらのアルバムで。